高血圧

高血圧症

誰もがご存知の生活習慣病の代表疾患です。 わが国には3300万人もの高血圧患者さんがいると言われています。 なんと、60歳以上では6割の方が高血圧症にかかっているそうですから驚きます。
高血圧症とは、
血圧が一定の値より高く、放置すると循環器疾患を発症させる危険のある状態をいいます。

無症状で経過することが多く、それだけに治療開始が遅れ、 脳卒中心臓病を発症して 初めてことの重大さに気づくこともしばしばあります。

では、血圧とは、いったい何なのでしょうか。

血圧は心臓から押し出された血液を体内の血管が受け止めたときの圧力を数値で表示したものです。 (血圧の単位は水銀柱で表わし、例えば120/80mmHgなどと記載します) 脂肪やカルシウムが血管内部に沈着して血管に弾力性が失われ硬くなると、 血管内を血液がスムーズに流れにくくなります。すると血管の抵抗が増して、血圧は上昇します。

さらにその狭くなった血管に同じ量の血液を流そうとすると、心臓には以前より強い力が必要となります。

そして心臓からの強い力に耐えるために血管の壁は厚く変形し、 結果として動脈硬化が進行することになります。


血管をポンプにつながったゴムホースにたとえてみましょう。
心臓はポンプにたとえられます。ゴムホースが新しく丈夫であるうちは、 ポンプから勢いよく水を流出させてもゴムホースは傷ついたり破れたりすることはないでしょう。

動脈硬化のない丈夫な血管であれば、ポンプである心臓から大量の血液が流出しても耐えられます。 このとき血圧は上昇しますが血管の壁に柔軟性があれば破れることはありません。

しかし、ゴムホースを乱暴に扱って傷がついたり、あるいは乱暴に扱わなくても老朽化して弾力性が失われたらどうなるでしょう。 ゴムホースは水圧が高くなれば耐えられずに簡単に破れてしまうでしょう。

高血圧による血管の破たん、すなわち脳出血などがこれに相当します。
脳梗塞心筋梗塞は傷ついたゴムホースの破片がその先で詰った状態です。

血管1 血管2 血管3 血管4
正常な動脈 前粥腫への移行 線維性プラークへの移行 複雑病変/閉塞

以前は、血圧が高いのはもちろん、逆に下がりすぎてもよくないと言われました。 確かに高齢の方ではその通りだと思います。
しかし、最近、血圧は低ければ低いほうがよいのではないか、と考えられるようになりました。

再びゴムホースにたとえるなら、ゴムホースには寿命があります。 長く使っているうちにいたみ、乱暴に使えばすぐにでも破れます。 血管も同様で、20代や30代の若い方でもすでにある程度いたんでいる、と考えるべきかも知れません。

正常血圧であっても長く使いつづければ残念ながら血管はいたみます。血管は体の中の有限な資源なのです。 この考えに沿えば臓器の血流が保たれている限り、ゴムホースの水圧同様、血圧は低ければ低いほどよいと言えます。

わが国は高齢化時代を迎えています。高齢化時代を幸せに過ごすため、誰もが心身ともに健康でありたいと願うでしょう。 しかし、本当に健康なお年寄がどのくらいいるでしょうか。 脳卒中や心筋梗塞による死亡率は高度医療の発達により今後さらに減リ続けるでしょう。

その一方で急性期に命は救われても身体障害を残して生き延びる人たちが増えています。 そうなった人々に医療や介護の手厚いケアが必要なことは言うまでもありません。

しかしそうならないよう予防することも同じくらい重要だと思います。長く使えばゴムホースはいたみます。 血管も同様、人が長く生きる間にいたみます。 ゴムホースや血管を丈夫で長持ちさせるには圧力を必要最小限低く保つことが大事であると思います。

以上の考えに基づいたのが表1に示す今回あらたに出されたJNC7の高血圧診療ガイドラインの 意味するところだと私は解釈しています。

血圧分類 収縮期血圧
(mmhg)
拡張期血圧
(mmhg)
ライフスタイル修正
正常 <120 かつ <80 奨励
高血圧前症 120~139 または  80~89 実施
Stage1の高血圧  140~159 または 90~99 実施
Stage2の高血圧 ≧160 または ≧100 実施
表1 成人における血圧の分類と管理

このガイドラインは世界中で最も権威あるものの一つです。これまでのガイドラインでは、 血圧120/80mmHgは「正常」血圧でしたが、今回の改定でこれは高血圧前症、つまり、「正常」ではないとされたのです。 常識からかけ離れている、と思う向きもありますが、以下の説明によって納得いただけると思います。


つまり、今まで正常と認識されていた115/75mmHgという低い血圧の段階からすでに血管障害は始っていて、 この値から血圧が20/10mmHg上昇するごとに心臓病、脳卒中の危険が倍増することが疫学的研究で判明したのです。


予防措置をとらない限り、この危険は加齢とともに増大します。したがって血圧は120/80mmHgでも正常ではないのです。


だからといって血圧が120/80mmHg以上の方すべてが降圧剤を飲む必要はありません。 まず、降圧目標は140/90mmHg未満です。 それ以上ある方は140/90mmHg未満になるまでライフスタイルの修正を行ないます。


ライフスタイル修正とは、減量、カリウム・カルシウムが豊富で飽和脂肪酸や食塩を抑えた食事、運動、節酒、禁煙などです。 これらのライフスタイル修正によっても降圧目標値に達しない場合に薬の内服を考えます。
ライフスタイル修正は140/90mmHg未満の高血圧前症や正常血圧の人にとっても動脈硬化発症予防のために必要なことは言うまでもありません。


皆さんの血管が破れたゴムホースにならないためにも。

高血圧症に対するヒロクリニックの治療方針

  • 健診で高血圧を指摘された方
  • 薬を飲むのが嫌だからと高血圧を放置されている方
  • 健診や医者では血圧は高くても自宅では高くないから平気だと思われている方
  • 脳卒中や心臓病を起こしたご家族をお持ちで少しだけ血圧が高めの方

重大な合併症である脳卒中や心臓病を起こす前に、是非、当院にお越しください。
高血圧の原因を詳しく調べ、洋服の仕立てのように各人にあったオーダーメイドの対応をいたします。

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